2014.11.27 Thu TEXT:BANANA CATEGORY:column
”最初の一歩を踏み出す勇気を持って欲しい。とにかくいろんなことを経験して、世界を知って欲しい。”
クラブ関係者であればこの人を知らない人はまずいないだろう。DJであり、オーガナイザーであり、東京のクラブシーンを語る上で絶対欠くことの出来ない人物”RAHA”
今回BANANAでは、世界中のクラブを駆け巡るRAHA氏に、DJとしてではなく、オーガナイザーとしてでもなく、1人のダンスミュージックラバーとして、貴重な話を聞かせてもらった。
クラブと言うか、僕の時代だと最初の頃は”クラブ”と言う言葉はまだなく、”ディスコ”だったね。高1になったばかりの時に初めてディスコに行ったよ。僕は、中学までは全然普通の子どもだったから、僕よりも二歩ばかり先に遊んでて、経験積んでるヤツが学校の中に何人かいて、中学からバンドやってたり、もうその時点で普通に女の子と経験してたり、ディスコにも潜り込んでたようなヤツらがいて、そいつらと一緒に行ったのが最初かな。とにかく他の遊びとは劇的に面白さが違うって知ったから、それから通い始めましたね。今とは時代が全く違うから、想像出来ないかもしれないけど、全ての事において、2、3才歳を引いて考えてみてもらうのが良いかもしれないね。つまり、今でいう中学生の頃にクラブ遊びをしてたってことだよ。
自分ではあれが初めて行ったうちには入らないだろうと思っているけど、14才、中2の時に家族ぐるみで付き合いのあった知り合いのサーファーのお兄さんとキャンプに行くついでに連れて行かれたことがあったんだ。後から分かったんだけど、あれが六本木の当時のNo.1ディスコ『キサナドゥ』だったんだよね。その時は自分がガキ過ぎて全く訳分からなかったよ。
自分の意思で行った一番最初のディスコ(*先にもあるように、当時はクラブというのは存在していなかった。)は、15才の高1の時に行った新宿東亜会館の”GBラビッツ”。上の問の答えで行ったところだね。最初は当然、正しい振る舞い方も出来なかったし、そこに居るお客さん全員の中でカッコイイかと言われれば、決してそうではなかったし、自分でも周りの明らかにイケてるお兄さん、お姉さん達とは違うんだろうなあと感じてた。だから、「見てろよ!」と誓ったのを覚えてるよ。
でも、当時にかかっていた音楽は自分たちからしてみれば最高に良いし、かわいいコはたくさん居るし。明らかに異空間だったね。中のフロアーの色とかシーンとかわずかだけど今でも覚えてるよ。しかも、最初に行った夜にかわいい女のコと知り合って、一緒に行ったのが、新宿のホテルじゃなくてレンタルルーム!(笑)それを今でも覚えてる。 でも16歳になってから六本木に行くようになって、新宿に行くのは止めたよ。間違いに気付いたんだね(笑)
誰にとっても最初は最初。ただ、その最初を始めない事にはいつまでもゼロのまま。自分もそうだったように、まだ行った事・やった事のない人にとって、”最初”って言うのは何かのきっかけがないと出来ない。簡単そうに見えても実際はそうでなかったりするから。そうゆう人たちにとって、色んなきっかけがある中で、このBANANAがやっているコンテンツは一つのきっかけになればいいと思ってるよ。俺は、昔ある一冊の本に出会って、今も人生の教訓にしてるのがあるんだけど、『まず動く』って本で、”とにかく、気になる事ややりたいって興味ある事があっても、それを考えてるだけで、実際に行動に移さないうちは結局何も始まらないし、変わらない。何でもいいから、ある程度考えて、動く方向を決めたらまず動いてみる。動いてみないと成功も失敗もない。失敗はいつまでもそこから動かず何も起きないゼロより、はるかに価値がある。1回でも経験して、一歩でも今の自分の立ち位置から位置を変えてみると、物事の見え方って変わる。そこからまた考えても良い。” そういう内容の本で、とにかく、まず最初の一歩を踏み出すには、ほんのちょっとの勇気を出す事、あとは勢いと言うか、ノリだよ、ノリ(笑)。
パーティーを楽しむためのコツやアドバイスと言うならば、まあ、肩の力を抜いて。と言った感じかな?最初からパーフェクトにいくわけないんだから。ただ、最初から周りのそこに既にある空気感、暗黙のルールみたいなのは遊びの世界だけでなくいかなるシーン、シチュエーションにおいても感じ取って、それを初顔の自分がぶち壊すような事をしない努力をすべきだと思ってる。それは、絶対に必要な事だと思うな。この「感じ取って、行動する」と言うのは昼間の会社でも遊びの世界でも同じでしょう。それだけを気にしていれば、後は全然大丈夫。
僕は、世界の色々なところに行っているけど、とにかく視野が格段に広がっていくのが分かるよ。その違いは自分で経験してみないと絶対分からないよね。インターネット上で知る事はあくまで、”ただ知ること”にしか過ぎない。それを忘れてはならない。"知る" 事はまずもちろん大事なことだけど、その上でとにかく一つでも多く "実際に経験" しないと! いくらネットで知識を入れたって、細胞レベルの血肉達は、その空気感を経験して感じ取っている訳じゃないから、それだけでは、本当の意味で染み込んでることにはならない。本人がいくら "変身" したつもりでも本質的な部分でいささか違うものになっちゃってたりする事も多い。この勘違いは本当に危険な事なんだよ。とにかく実際に自分自身が経験し、何度も心から感動したり、鳥肌が立ったりしなきゃ!It's life!!
そして、世界は、その場所でそれぞれの考え方がある。それはそれで結構。でも世界と言う枠組みで共通している感覚、通用する軸、そして、逆に日本に居るだけでは分からなかったけど、自分の普通に思ってた事や、やってた事、感覚の中で、これって実はちょっと変だわ(weirdの意)、って言うことが自然と見えてくるようになる。そう、その色々な事を見て、経験して、通過してくると、今まで見えてなかったものが見えてくるんだよね。真理と言うか。自分の事でも日本の事でも、これは他の人・国や都市が真似できないすごく特徴的で実はすごく良い事、でも一方では、これは世界共通のマナー・感覚からすると実は恥ずかしかったり、良くない改めるべき事などが見えてくる。そして、それが人種・国に関係なくスマートな一人の地球人・人間として持つべき重要なバランス感覚だったりする。
今の自分から、海外のことを全然知らなかった頃の遠い昔の自分を見ると、その頃は歳が若いからと言うだけじゃなくて、いろんな意味で、”ないなあ”と思うよ。あのままだったら残念だったなあ、と言うか(笑)。
あと、日本て地球儀のレベルで考えると、とっても地方な国だからね。場所だけの意味じゃなくてね。クラブシーンにおいても、あまりそれを分かっていない人って実はすごく多いと思う。これを一般に広げると恐ろしいほどに多い。
明確な事実として、ここは地方のものすごい大都市だから。しかも、世界のどことも違う、良くも悪くも超特徴的な国なんだよ。海外に出てると、そうゆう実は重要な事が身に染みて分かるんだよね。だから、特に今の若い人達には今からどんどん海外に行って、いろんなことを見て欲しい。特にヨーロッパと比べて、いかに自分達が地方の住民なのかってことを知って欲しい。だからいっぱい働いて、バイトして、お金を貯めて下さい!俺らが若い時必死にそうしたように。
魅力と言うか、とにかくあっちで生まれた文化をその現地現地でやってるわけだから、当然いろいろなところで形態やシステムがアレンジされておらず、ストレートにそのままやっている色合いが強くて、だからメチャメチャに面白かったりする部分はあるよね。そして、実際はそれがスタンダードな基準のおもしろさだと言うのが自分個人の考えだよね。お客さん一人一人のノリも当然違う。良いとこも悪いとこもあるけど、それがどうであれ、あちらで生まれたオリジナルの姿であり、本質であると言うのが事実。日本においても、良い意味でも悪い意味でも、日本独自のスタイルになっているように、海外でもその国それぞれのスタイルが出ていて、それもおもしろい部分だよね。
やっぱり海外で感じるそのスタイルは、この日本と言う国に居ただけでは経験しきれないことがあるのは間違いない。とにかく自分で体験して確かめて来た方がいい。1回の海外のフェスで人生・人生観が変わった、と言う話しをよく聞くよね?とにかくこういったフェスとかクラブシーンとかって事だけに限らず、日本の事しか知らない、本当の意味で外を体験してないって事は本当に危険な事だからね。
あと海外のフェスや、特にイビサに行くといいなぁと思うのは、普段はそれぞれ世界のいろんな国に散らばって暮らしてる友達と会える事かな。それが1年のうちに1回のヤツらもいる。すっごく気が合うし、色んな意味でも認め合っている友達たちと定期的に会えるのは最高だよ。みんなだってよくレイブとかフェスで、ホントその時だけにしか会えない友達って大勢いるんじゃないかな。それと同じなんだ。その規模がワールドワイドに広がった感じだから、この面白さはまた格別だよ!
そして、そんな時、最低限必要なのはとにもかくにもやっぱり英語。みんな、とにかく英語だけは絶対に話せるようにした方がいい。でないと人生において経験できる事が限られてしまうから。
最後に、これを見てくれてる人、読んでくれてる人、特に若い人達は、海外に行く事ももちろんそうだけど、それだけじゃなくて、いろんなことを経験して欲しい。日本のシーンにも他の国が真似出来ないような素晴らしいところがたくさんある。そして、それを改めて認知するには、やっぱり色んなところのそれぞれの事・事情を知っていかないと本当の部分で、その違い・良さを理解するのは難しいと思う。逆もまたそうで、日本だけしか知らないと、自分たちのこの部分、実は改めていかなきゃいけないんだな、って事にも永久に気付けなかったりするから。 そういった、みんな一人一人の成長がこの国のシーンを本当の意味で、成熟したもっと良いものにしていくんだって信じてる。
photo & movie by Katsue Kikita
special thanks to Nomad
11月29日,30日には、代官山AIRにて、RAHA氏がオーガナイズするパーティー『Beat In Me feat. Petre Inspirescu ([a:rpia:r])』http://bnana.jp/products/romania-petre-a-rpia-r-24112014 が開催される。
インテリジェンスでクオリティーの高いダンスミュージックカルチャーが浸透しているルーマニアのシーンを垣間見ることが出来るパーティーへ是非参加しよう!