現代アートの祭典“9th Berlin Biennale”フォトレポート

2016.08.10 Wed TEXT:Yukiko Yamane CATEGORY:report

感度の高い若者とクリエイターが集い、絶えず新しいアートが生み出されている。そんなアートの前衛都市ベルリンにて、隔年開催される現代アートの祭典ベルリン・ビエンナーレ http://www.bb9.berlinbiennale.de が9/18まで開催中だ。 第9回目である今回のテーマはThe Present in Drag。ヴァーチャルとリアル、国家とブランド、データと国民、文化とキャピタル、政治とウェルネス、GDPと幸福など、まさに2016年の世界を構築するパラドックスの具現化を目指した内容だ。Akademie der Künste、KW Institute for Contemporary Art、ESMT European School of Management and Technology、The Feuerle Collectionの計4ヶ所で開催。

今年の注目すべき点は、NYを拠点に活動するアート・ファッション集団DIS http://www.dismagazine.com がキュレーションを担当していることだ。彼らの世界観を少しでも把握した上で鑑賞すると、より一層楽しめるので、まずはDISのウェブサイトをチェックして頂きたい。

各展示会場の写真と共に、気になる作品をピックアップしたのでご覧下さい。

『Akademie der Künste(ベルリン芸術アカデミー)』

今回のメイン会場の1つである、ブランデンブルグ門の隣りにそびえ立つ芸術アカデミー。

Pariser Platz 4, 10117 Berlin

ユニセックスラインTelfar http://www.telfar.net とクリエイティヴディレクターBabak Radboy http://www.babakradboy.com によるインスタレーション兼ショップ。Telferデザイナーの顔をモチーフにした微笑みマネキンがずらりと並ぶこちらでは、Telferの商品を購入可能だ。

体をツイストさせた女性の彫刻はAnna Uddenbergの作品。この思わず釘付けになるアンバランスなポージング、そこに込められた彼女なりのジェンダー論が見るものに質問を投げかけてくる。

“In Bed Together” 2016 by M/L Artspace

オリジナルプリントが施されたファブリックによって構築されたベッドインスタレーション。

備え付けのヘッドホンを装着し、ベッドで寛ぎながらスクリーン上の映像を楽しめる。

『KW Institute for Contemporary Art(クンストヴェルケ現代美術館)』

もう1つのメイン会場である、ミッテ地区にある現代アート美術館。

Auguststraße 69, 10117 Berlin

"Ewaipanoma (Rihanna)" 2016 by Juan Sebastián Peláez

中庭に佇む巨大なヘッドレス・リアーナが私たちを歓迎してくれる。大胆に頭部をカットし、顔のパーツを胸に埋め込んだこの作品はコロンビア人アーティストJuan Sebastián Peláezによって生み出された。16世紀の探検家によって描かれた南アメリカに生息していた?とされる顔無し原住民”Ewaipanoma”がモチーフ。一見差別的にも見えるが、セレブリティ文化における身体修正や整形、ある種のコマーシャルモンスターであることを示唆する、まさに現代のパラドックスを具現化したものしても捉えられる。何と言ってもキャッチー、今回のビエンナーレにおいて最もソーシャルメディア上でシェアされたアートワークといっても過言ではない。

"What the Heart Wants" 2016, Cécile B. Evans

人間と機械の交流を描いたビデオインスタレーション。

音の振動によって、かすかに揺れる水面に映し出された映像と、ひんやりとした空気感が何とも贅沢な浄化時間を与えてくれる。時間があれば、ぜひ1本まるまる通して鑑賞して頂きたい。

『ESMT European School of Management and Technology』

歴史ある元DDR国家評議会を改装した民間のビジネススクール。

DDRの空気感をそのまま残した建築にもぜひ注目して頂きたい。

Schlossplatz 1, 10178 Berlin

『The Feuerle Collection』

クロイツベルグ地区にある第二次世界大戦前の通信用バンカーを改装した予約制のプライベートアートミュージアム。

Pariser Platz 4, 10117 Berlin

思わずクスリと笑ってしまうような、感情をほんの少し揺さぶられるような、そんな心地よい違和感と、非日常的な空間に好奇心をくすぐられる。目まぐるしく移り行く日々の合間にヴァーチャルとリアル、現実とアートの狭間を漂ってみるのは如何だろうか。

9/18までオープン、ぜひこの現代アートの祭典に足を運んで頂きたい。

Photo by : Yukiko Yamane

ライタープロフィール:山根 裕紀子 (YUKIKO YAMANE)

2012年よりドイツ・ベルリンへ拠点を移し、PRライター&コーディネーター、アーティストとして活動中。刺激的なベルリンカルチャーにますます惹かれる中、2015年より、新たにコーディネート・ライター業をスタート。現在men's FUDGEにて連載を持つ。ガイドには載っていないコアなエリアやローカルネタ、移り変わりが激しく混沌としたベルリンのアート・ファッションシーンを独自の視点で発信。雑誌等の取材・アテンド・通訳をはじめ、国内外のアーティスト・デザイナーとの撮影やポップアップショップのオーガナイズ、ファッションウィーク・トレードショーのアテンドなどを中心に、日本とベルリンの架け橋としてマルチに活躍中。

Website: http://www.yukikoyamane.com
Contact: yyy.yamane@gmail.com

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