Kuniyuki × Hiroshi Watanabe aka Kaito インタビュー

2016.08.17 Wed TEXT:BANANA CATEGORY:news

来る2016/8/29、東京渋谷のContactにてParty Paradise Galleryのプロデュースによるパーティ「Party Paradise Gallery × Night Museum ”Joy”」が行なわれる。

このパーティのスペシャルコンテンツとして「Special Session Kuniyuki & Hiroshi Watanabe」の初セッションライブが予定されている。
日本を代表するエレクトリックミュージックアーティストの2人によるこのセッションライブがどのように実現するに至ったのか?そして一体どのような形になるのか?はたまた彼らがどのような意識を持って音楽制作/ライブを行なっているのか?
今回はこのパーティを前にオンライン通話アプリケーションのSkypeを使用し、Kuniyuki、Hiroshi Watanabe両氏とParty Paradise Galleryオーガナイザーの藤本順子氏を交えたインタビューを行なったので、その模様をお伝えしたい。


インタビュアー伊藤大輔(以下、伊藤): ふたりでのライブセッションは初となりますが、そうなった経緯を教えてください

Hiroshi Watanabe(以下、H): オーガナイザーの藤本さんに提案してもらったんですよね?

藤本順子(以下、藤本): いや、実はKuniyukiさんからだったんです。

H: Kuniyukiさんからなんだ!うれしい!

Kuniyuki(以下、K): そうなんです。 なので僕から説明させてもらうと、Hiroshiさんとはパーティでも一緒になる機会も色々あって、東京でHiroshiさんと会ったりしたときにもいろんな話をしていたんです。ふたりとも音楽を作っている仲間だし、僕もHiroshiさんもライブをやることも多い。でも、一緒に曲を演奏する機会が中々なかったんです。だからそういう機会があればいいなと言ってたのが3年くらい前で。僕らのライブのセットアップというのも、セッションとかができるような環境が少しずつ整ってきていたんです。で、今回のパーティに誘っていただいて、Hiroshiさんと一緒だって聞いた瞬間に“コレは!”と思って、ライブ・セッションをやろうと僕から相談しちゃいました。

H: うれしいですね。

伊藤: Watanabeさんの方はセッションの話をもらって、どんなことをやりたいと思いましたか?

H: 正直に言うと、このセッションに関してはKuniyukiさんとメールと電話のやりとりを一回しただけでして。ちょうど8月のアタマまで自分のアルバムのリリースツアーに集中していたんです。だからまさにこの今日の取材からセッションのほうに気持ちを向けようと思っていたんです。一度Kuniyukiさんと話したときには、ROLANDのAIRAシリーズを中心に据えて、ABLETON Liveを主体にした機材のスタイルを見ても僕と近い部分があって。とは言え、Kuniyukiさん自身、独自のライブのやり方を持っていて、それを僕も何度も見ているから、そこに僕自身がKuniyukiさんのポテンシャルと同調して、何ができるのかというのを考えたいなと。

伊藤: なるほど。じゃあセッションの詳細はこの対談でつめていけたらいいですね(笑)

H: (笑)

K: (笑)

伊藤: ではセッションに関してはまだ、リハーサルとかもやっていないと。

H: うん、リハーサルができたらいいよね。でも、リハがどうのってよりも、やっぱりお互いが持っている“何か”を、その場で出し切ることのほうがおもしろいっていう話はしてましたね。

K: そうだね。もともと僕はライブをメインに活動しているので、その都度、音楽を作っている人や、楽器を演奏する人と、“なんか一緒にできたらおもしろいね”っていう機会がすごく多いんです。 例えば昔のジャズ……ハービー・ハンコックにしろマイルス・デイビスにしろ、みんな同じ時代に生き、音楽を作って演奏もしている。かつ、一緒にライブで同じステージに立っていた。 だから僕らがやっているエレクトロニック・ミュージックでそういうことを実際やってみて、どんな発見があるのか。そういった未来像についてをHiroshiさんとも話をしていたんです。そういう意味でも僕らが一緒に(セッションを)やってみる価値というのは大きいと思う。 で、実際にゼロから楽器を並べて、何が起きるかというのは、正直、僕もHiroshiさんもある程度の自分の気持ちの中での想定はできるかもしれない。でも、例えばライブ中にHiroshiさんがベース・ラインを弾いていて、自分のアイデアでそれに対して何ができるのかということも試してみたいなという気持ちがありますね。

伊藤: ではライブセッションは即興な要素が強くなりそうですね?

H: まあ、そうだろうね。 即興性。あとは単純な話だけど、Kuniyukiさんと僕の中にそもそも仕込んどくというか、元々持っているライブの中の何かの要素を少しずつ抜き差ししていって、“その場”で選んでプレイしていくことで広がりもでると思う。Kuniyukiさんの方のメインパートというか、ライブ用の音源の上に僕が弾いてもいいし、僕の音源の上にKuniyukiさんに弾いてもらってもいい。まあ、言ってみれば、あんまりいろんなことを話さない方がいいこともあると思うんだよね。

K: そう。それもすごく大きいと思いますね。

H: 予定調和的になるとつまらくなっちゃうから。

K: そう。

伊藤: 近年、エレクトロ・ミュージックにおいても即興でライブをやるアーティストが増えていますが、その可能性というのはどんなところにあると思いますか?

H: さっきKuniyukiさんが言っていたように、エレクトロ・ミュージックって使っている機材が電子楽器であり、個々に構成されるその人独自のセットアップにおいて成立していた世界がずっとあったと思う。そういう音楽をやってきたアーティストがセッションできる/できないというのは、環境が揃わないとできないこともあるし、そもそも楽器を弾ける/弾けないかっていうところも大きいですよね。 だから機材や楽器を自分なりに操れる人同士でないと、セッションっていうものは成立しない。だからそういうポテンシャルを持ったアーティスト同士が、これから何か巻き起こせる可能性という意味では、いろんなことができてしまう。 逆に言うと、Kuniyukiさんが今後の可能性と言っているように、おもしろさというか、今までさんざん見てきちゃって、半ば飽き気味になっているような部分ってあるかもしれない。特にパフォーマンスという意味においてはね。 だから誰かと誰かがコラボしてその場でしか起こらないってことはまさにライブでしかできない。次の展開としてはすごくおもしろい話だと思うんです。

伊藤: ライブ・ミュージックの可能性というのは、作り込んでいくエレクトロ・ミュージックとは真逆な要素がありますからね。

H: そう。で、それがやれる人も限られていると思うから。まずそれができる人たちが、まずやれることを見せていくのが大事だと思う。

伊藤: ある程度楽器が扱えないと難しいですからね。

H: そういうこと。

伊藤: 今回のライブを見に来る人たちって、おふたりの音がどう混ざって、どんなものになるのかっていう期待していると思います。ある程度、今の段階でこんな感じになりそうだよって、言える部分はありますか?

K: ははは(笑)。 僕が思うのは、Hiroshiさんとは音楽を通じて、パーソナリティの部分……僕らはお互いに家族の話をすることも多いし、それでいて同じように音楽という場でお互いに表現をしていく同志でもある。まず大事なのはライブってゼロからスタートだから、試行錯誤よりも楽しむという感覚が大事かな、と思っていて。 でうから、あまり“こうなる”っていう決まりごとを僕自身は決めずにいきたいなと。
Hiroshiさんと前にチャットで話した時は、お互いの音楽をお互いのライブやDJで吸収していいるから、そういうイメージを頭の中に描きながら自分の音も出せると思うんです。でも、大事なのは、そこで鳴っている音が何が出てきているのかっていう体験をしながら、例えばインプロで言えば、キーボードがあれば今出ている音に何か足していきたい、Hiroshiさんもさっきおっしゃってましたけど、自分たちが持っている元々のライブのネタみたいなものが出てきた時に、リミックスじゃないけど、ジャズのスタンダード曲である「枯葉」が、演奏する人によって全然違うバージョンになるように、みんなと一緒にドキドキしながら僕らも楽しむ……そういうものが音となって現れたらいいなって、僕は思っています。

H: 僕もそう思うよ。セッションって、そのうえで僕とKuniyukiさんの音楽的スキルの豊かさが出せるかどうかだと思う。それが当日、うまくやりきれたらおもしろいことにしかならないと思うし。 やっぱりお互いが出す音を分かってるからこそ、相手の音を聴きながら自分が何をするかっていうのを冷静に考えて、お互いの音を体感しながらやれるかっていうのがセッションではすごい大事なんだ。 僕とKuniyukiさんがやるのは初めだけど、でも僕にしてもKuniyukiさんにしても誰か違うアーティストと演奏するという“体験・経験”は持っているわけだし。 だから、お互いに本当のところは“心配はしていない”と思うね。

伊藤: まあそうですよね(笑)

H: 何がどう巻き起こるのかっていうことは、やんないと分かんないよね?(笑)

K: そう、絶対にね。やって勝負で。 トラブルに関してもHiroshiさんにしても僕にしても、「あれ?なんか機材がトラブってる?」って思っても、どうにかしちゃうし(笑) それと、今回は開演時間も早めだし、より幅の広い表現ができるチャンスをいただいている気がするんですよね。

H: わかる。

伊藤: 時間帯としてはライブと同じというか、よりパフォーマンスを見るっていう感じになりそうですね。

K: そうですね。実際に楽器になりうるものを手元に持っていって、それで鳴らしながら……そう、ライブですね。ホントに。その場所で表現をしていく、みたいな。

伊藤: エレクトロ・ミュージックのライブ・パフォーマンスって、楽器が好きな人だったら「あー、こんなことやってるな」って分かると思うんですけど、そうじゃない人たちにとって、インプロだったり電子音楽のライブってちょっとハードルが高いとも思います。もしお二人のライブを見るに当たって、「こんな風にして楽しむといいよ」っていうアドバイスがあったらお願いします。

H: まぁ、僕とKuniyukiさんが、いい加減で適当なことしない限り、間違いなく来た人は楽しんでもらえると思いますよ。 いや、そうじゃないと自信喪失する(笑)

K: 僕もそうだけど、Hiroshiさんっていつもライブ終わった後とかに絶対反省会してるでしょ?(笑)

H: (笑) ある。やっぱ自分の中ではね。

K: Hiroshiさんの話の中で感じるのはやっぱり、そのパーティでしか体験できないような貴重な時間のために、燃焼し切るくらいまでやっぱり気持ちでやっているってこと。僕はわりとスロースターターではあるんですが、その瞬間しかないグルーヴ、その時間にしかできなものを作っていきたいから、来てくれた人がそういう体験をしてくれればいいとは思いますね。 DJやクラブ音楽ってレコードをかける文化から始まって、僕らはその場所でライブという表現をしているけど、もちろん来ているのなかにはライブとDJに垣根が見えていない人もいて当然だと思うんです。 でも、そういうものも時間が経って、ライブという存在に対しての考え方が変われば、聴いている人たのなかでも“ライブ、チャレンジしたいな”とか、そういう場でみんなも参加できるような方法もあったらいいな、と思いますね。

H: 特にDJブースの中にライブセットも組まなきゃならないことって多いじゃない?
だから余計に今Kuniyukiさんが言ったようにDJなのかライブなのかっていう差が分からなかったりっていうのはクラブイベントだとよくある。 でも、今回はDJブースを真ん中にして、左右対称に僕とKuniyukiさんのライブセットを組むつもり。だから、当然だけど、初めて僕とKuniyukiさんを見る人たちがいたとしても、DJじゃないことは絶対視覚的に分かることと思う。

K: お互いにやっていてもこっちは楽しいしね。

伊藤: 今後の活動予定を教えてください。

K: そうですね。ライブはコンスタントにやっていく予定で、今回のHiroshiさんとのセッションもそうですが、ライブで他の人とやる機会だったり、もちろんHiroshiさんと継続してやることも含めて、ライブでしかできない表現を進めてみたいというのが、今後の予定です。

H: そのライブのひとつがMontreus Jazz Festival Japanのやつだ?

K: そう。10月7日はHenrik Schwarzと僕、あとピアニストの板橋文夫さんと一緒にやりますね。あとはアルバムを作っている最中で、来年くらいに出せたらというところです。ひとつはVakulaとかJimpsterとか、Nick Cohenとかそういうアーティストと一緒に作った曲をまとめたアルバム、もうひとつがmule musicからリリース予定のもの、そして、NYのジョークラウゼルのところからも出そうとている作品の計3つです。とくにジョーのは、すでに10年以上待ってもらっていて(笑)、ごめんなさいとしか言えてなくて(笑)。毎日スタジオにいるともちろん「今日はこれだ!」って、自分の気持ちで動いていたいし、僕は音楽を作る時は自由でいないとあんまりいい事がないんですよ。Hiroshiさんは?

H: さっきの話の続きで言うと、アルバムのツアーが一区切りついたので、次のプロジェクトを色々やっていこうかなという感じです。来年の春をめがけてKaitoの次のアルバムを作りたいのと、年内に僕のMIX CDシリーズの「Contact To The Spirits」のパート3を出したいです。 僕もひとりでやるものだけではない可能性を広げていこうと思っていて、Kaitoの次の作品に関しては、何人かのギタリストに声をかけながら、一緒に作ってもらうっていう感じですすめています。 その流れで、10月のアタマにあるCAMP Off-Toneっていうアンビエントの野外イベントにもギタリストと一緒に出る予定です。それの延長線上で、来年のKaitoのアルバムの作りを本格的に進めたいと思ってます。僕もKuniyukiさんも置かれている環境がホントに近いと思うし、子供がいて家庭があってっていう中で、可能な限り活動に専念しながらも、家族の時間など、音楽以外の部分でもいろんなものを背負っているわけで。そういう環境やKuniyukiさんが言っていた音楽以外にもいろんな話をしてきてるので、そこをちゃんと共有できてる唯一の存在。だからこそ、今回のセッションに関してはおもしろすぎるというか(笑)。

K: Hiroshiさんといつも話してる9割が、家庭を含めた環境の話で、残りの1割の半分がお互いの体の体調の話とか(笑) 。なかなかないですよ。音楽の話ばっかり頭にあるはずなのに(笑)

H: 健康診断の話とかね。これ以上は、ここでは言えないけどさ(笑)


Kuniyuki、Hiroshi Watanabeの2人がどう音楽に向き合っているのか、感じられたのではないだろうか。

2人のスペシャルセッションライブが体感できるのは下記。
平日月曜日の夜という日程だが、貴重な時間/空間になることは間違いない。ぜひ足を運んで実際に体感していただきたい。

2016.8.29 MON 21:00start4:00close @Contact Tokyo

PARTY PARADISE GALLERY×Night Museum ”JOY”

新世代ダンス・ミュージックムーヴメントへと向かう

2013年から1年のみという限られた時間の中で、渋谷の古ビルの一室で始まった新たな胎動。
PARADISE GALLERYというその小さな場所から始まった胎動は、同店閉店後、”PARTY PARADISE GALLERY”へと姿を変える。その後、2nd Summer of Loveの初期のパーティーから名前を拝借した新世代ダンスミュージックパーティー”JOY”へと発展、東京のシーンに新しい音楽の揺るぎを提供する。
今回はKO UMEHARAがフロア全体の空気を創造、日本が誇るベテランアーティストKUNIYUKIとHIROSHI WATANABE aka KAITOそれぞれのライブセットを軸に、スペシャルコンテンツとして”Special Session KUNIYUKI&HIROSHI WATANABE”のライブが予定されている。Taiki Kusakabeの装飾がフロアを彩り、STONE63率いるNight Museumも加わり、JOYが空間全体をトータルプロデュースする。

live
KUNIYUKI (mulemusiq)
HIROSHI WATANABE aka KAITO (Transmat/Kompakt)

special live session
KUNIYUKI&HIROSHI WATANABE

dj
KO UMEHARA (Komabano Osciliation Lab.)

Night Museum
ut◻︎p×STONE63 (space orbit)

decoration
Taiki Kusakabe

food
Night Chilling*

camera
Jiroken

image photo
HIROSHI WATANABE

All produced by PARTY PARADISE GALLERY

DOOR 2000yen
W/FLYER.GH Member 1500yen

Contact Tokyo
www.contacttokyo.com
B2 Shintaiso Bldg No.4
2-10-12 Dogenzaka,Shibuya-ku,Tokyo
tel:03-6415-8107
More info:03-6415-6231(Global Hearts)

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