【BANANA REPORT】 electraglide 2013 〜 ARTEMISツアーレポート!

2013.12.12 Thu TEXT:伊藤大輔 CATEGORY:report

昨年復活を遂げたダンス・ミュージックのビッグフェス=エレクトラグライド(エレグラ)。 実力のある海外アーティストを中心にしたラインナップで話題となった去年に続き、今年はジェイムス・ブレイクらが参戦し、大盛況のうちに幕を閉じた。筆者自身の個人的な感想としては、昨年よりも今年のエレグラも方が楽しかったと思う。 なぜかと言うと、一番大きな理由はアーティストのパフォーマンスはもちろん、BANANAというツアーで行ったから。 え、BANANAって一体何? 簡単に説明しておくと、クラブに行ったことがない人、一緒に行く人がいない人、最近ご無沙汰な人をターゲットに、クラブ・ツアーをパッケージして提供するプロジェクトで、中々に良いサービスだと思った。ということで、みんなでエレグラにバスで行こうという趣向。早速参加表明し、“エレグラ with BANANA”な感じでレポートしたい。

BANANAのエレグラ・ツアーは、渋谷から会場幕張メッセの会場入り口付近までチャーター・バスで輸送してくれるうえ、おまけに関係者専用のバー・エリア用のパスが付いてくる(後述するがVIPパスの存在はかなり大きい)。が! 帰りは同じ渋谷駅前ではなく、代官山のUNIT。BANANAとして梯子スタイルの推奨。中々にドープな夜遊びパッケージ・ツアーです。というわけで、僕が乗ったのは夜10時に渋谷発の第2便。セルリアンタワー前に止まっている緑色のバスがそのようで、とりあえず乗り込んでみる。今回は自分はレポーター役を担っているので、参加者のみなさんとどう絡んでいこうか……と、考える間もなく、隣に乗ってきたホロ酔いのお兄さんと、エレグラ出演アーティストの話や、最近気に入っている音楽の話で一盛り上がり。

こういうハプニングがあるのもツアーならでは。ほぼ満席になったBANANAバスは、道中でシャンパンが振る舞われ、大きめの音量で4つ打ち流れる中、一路幕張へ。この場で仲良くなった人たちが(自分も含めて)、和気あいあいとした雰囲気を醸し出していた(ある意味ちょっとカオスでもあるが)。仲良くなるにしろ、そうでないにしろ、“エレグラに行く”という同じ目的を持った人たち。音楽とはまったく関係のない人たちに囲まれて、一時間近く電車に揺られて幕張に行くよりかは良いはずだし、いずれにせよ会場の前に横付けしてくれるというはすごく楽だ。

バスに乗って一時間ほど、いろんな人と話をするうちにあっという間に幕張へ到着。ラスト・スパートでかっ飛ばすMachinedrumを横目に、とりあえずはVIP専用のバーを探し、友人や初めましての人と一緒に乾杯。エレグラのような大きな会場でこうやって落ち着ける場所があるのは本当に助かる。居心地が良くてダラダラ……してはレポートにならないので、フロアへと戻りSherwood & Pinchを観戦。気鋭のダブステップ・アーティストのPinchがビートを刻みながら、UKレゲエ界きって重鎮エンジニアのエイドリアンが、ディレイやエコーで音の残像を飛ばしまくる。レゲエ・フィールの強いストレートなダブステップは、エイドリアンのミックスが入ることで凶暴化。鼓膜が押しつぶされるくらいのベースが、低音好きな自分としてはハイライトだった。

続いては今年のエレグラの“本命”、James Blake。その魅力はダブステップで培った地鳴りのようなサウンドと、類い希な歌が共存しているところ。最新作『Overgrown』で培った歌に寄り添った表現が増えつつも、「CMYK」「Klavierwerke」などのブレイク流儀の凄まじい重低音の放射に歓喜の波が起こる。こういった低音の楽しみ方はダンス・ミュージックならでは貴重な体験だろう。何しろブレイクほどの沈んだ低音を鳴らすアーティストは類を見ない。ワールド・ツアーのラスト公演ということもあり、前回のスタジオコーストよりもさらに力の抜けた演奏という印象だった。

再びバーに戻り、回りにいた人を巻き込みながら、James Blake反省会。踊るもよし、語るもよし、夜遊びはこういう自由さが楽しいところ。話が熱を帯びるにつれて、ブレイク好きな若い女子も混ざってきて、彼の魅力について一緒に語り合う。今回のエレグラの出演者の中でジェイムス・ブレイクは、若いクラブ・ミュージック・リスナーにとっては入り口的な存在。彼の音楽をきっかけに、いろんなダンス・ミュージックに触れて欲しいなぁ~、なんていう老婆心を抱きながら、酒場を後に。フロアに向かうと2manydjsのピークタイム真っ最中。アシッド・ハウスからディスコ、はてはYMOまでをかけつつ、ど派手なVJを織り交ぜ、踊らせてナンボのパーティ魂は健在だった。

2MANY~が終わるやいなや、反対側のステージで!!!(チック・チック・チック)のライブがスタート。今年のエレグラは去年とは違い、ひとつのフロアの両端にあるステージから次々にパフォーマンスが始まるので、フロアは必然的にダンス・マラソン状態に。!!!はディスコ~パンクを刺激的にミックスしたサウンドを展開し、尖ったギターと前のめりに疾走するディスコなグルーブが、すっかり暖まった3時過ぎのフロアと最高のマッチングを見せる。続いて登場したMODESELEKTORがガッツリとテクノでアゲていく。流行りのベース・ミュージックからアシッディな4つウチまで完璧な流れでフロアを高揚へと導く。いや、アゲ方はベタなんだが巧い。彼らの魅力はそういうところなんだろう。そしてラストを飾るのはデトロイトの重鎮Theo Parrish。漆黒のビートやパーカッションを織り交ぜつつ、ジワジワとグルーブさせていく。絶妙なBPM加減といい、ミックスのバランスといい、やっぱり素晴らしいハウスDJプレイは本当にカッコイイ。このまま昼くらいまでは踊り続けられそう……だが、気がつけば5時半! あ、そういえばバスの集合時間だ!

会場を後に一路バスはアフターとしてUNITで開催されているパーティーARTEMISヘ……爆睡して気がついたら代官山に着いたときに改めてバスの便利さを体感。やはり明け方のクラブ梯子にはそれ相応のテンションと体力が必要なもの。その点でもバスは体力も回復できて面倒な移動も無いので一石二鳥だ。早速UNITの階段を降りて再度乾杯して談笑したり、踊ったり……楽しさとホロ酔い加減と、疲れと眠気が混ざり合った、アフター独特の感覚を味わいつつもUNITを後に。久々に濃い遊び方をした一晩だった。

クラブやイベントに遊びに行った一夜が特別なものになるかどうかは、DJやアーティストが出す音はもちろん、そこにいる人、会話、雰囲気、お酒など、いろんな要素が絡み合ってくる。それらの一つとしてBANANAは良い演出だと感じた。さらに、もう一つ触れておきたいことに、BANANAは主催側が参加者に一緒に遊ぼうと呼びかけているところに面白さがあるということ。運営をしている彼らは、もちろんクラブ遊びが大好きな人たちばかり。上下関係などを気にせずにその場を楽しもうとする、そんな夜遊び仲間が欲しかったら、BANANAのスタッフが心強くサポートしてくれるだろう。今後も参加型で楽しむ企画が目白押しなので、BANANAをぜひチェックしてみてほしい。それと、やっぱりバスで行くっていうのはマジで楽だよ!

HUMAN

  • She wants a man, not just a boy

  • Like rain and sun, like cold and heat