世界に恋する旅(ベルリン編)

2014.08.07 Thu TEXT:Kana Miyazawa CATEGORY:report

あなたの目の前には今何が見えていますか?そこから見える世界はどれぐらい広いですか? 幸せで溢れていますか?美しい空が見えますか?
私たちは、死ぬまでにいったいどれほどの国を旅することが出来るのだろうか?そして、その場所で何回恋に落ちることが出来るのだろうか?
旅は人との出会いに似ている。どれほどその街に恋することが出来るか?これが旅の本当の意味での醍醐味ではないだろうか?

これほどまでに美しい景色がこの世にあったのかと溜め息が出るほどの絶景が広がる夏のベルリン。夜9時を過ぎても明るく、白夜のような空の下で、オープンエリアのカフェやレストラン、パークでビールやワイン片手に語らう。 果てしなく長く、そして暗くて寒い冬を乗り越えてこそ味わえる短い夏の幸福感がそこには溢れていた。

ベルリンの壁が崩壊されてから25年。友好都市を結ぶ東京においてもベルリンとの交流は深まるばかりだ。近年の好景気に恵まれ、近代的ビルやマンションが次々と建設され、歴史的建築物とガラス張りの近未来的ビルとが入り混じるこれまでにない変化を遂げている。
しかし、そういった現象の裏には、決して表では語られることのない、本当の意味での”壁崩壊”という新たな世界の誕生があったのだ。西と東を分断していたあの壁の存在はあまりにも有名だけれど、私たちはあまりにも無知だった。

グラフィティで埋め尽くされた重厚的で退廃的な廃虚があちらこちらに存在するクロイツベルク。ベルリンを語る上でここは絶対に外せない場所の1つだ。10年前にはとても1人では歩けないゲットー中のゲットーエリア。伝説的なクラブ、世界有数のクラブ、ほぼ無許可に近いクラブなど、数え切れないほど多くのクラブが存在するエリアとしても有名。だが、クロイツベルクの魅力はそこだけではない。むしろ現在のクラブカルチャーへ繋がるとんでもない歴史的背景の一部が今もこの世にも存在している奇跡にあるだろう。

廃虚と化したビルを住居=スクワットとして作り上げた貧しいアーティストたちだ。常に瓶ビール片手に街を闊歩する全身タトゥーに革ジャンのアナーキスト、ナイフ片手に殺気立ったスキンヘッズ。彼らのスクワットが時代も年齢も越え、実際のライフスタイルとして受け継がれている。シュプレー川沿いには、ラブ&ピースなヒッピーがティピーテントを立て村を形成している。他にもひつじやヤギや馬を飼う人々、農園を運営する人々。もちろん全て無許可で、空き地を利用した生きる千恵がそこには存在した。スクワットの中にはバーやクラブまでも存在する。そこからどういったカルチャーが生まれるかは説明する必要もないだろう。

スクワットで制作されたアート作品がミュージアムに展示され、彼らの生活が映画になり、ツーリスト向けのツアーまで組まれるようになった。スクワットの住人たちは誰1人有名になりたいなどと考えてはいないだろう。その証拠にスクワットやティピーテント村内は撮影は禁止であるし、明らかにミーハー根性丸出しで入ると今にも殺されかねない鋭い目つきで睨まれる。そう、彼らにとっては、生きる術であり、現代的暮らしを放棄したアイデンティティーそのものなのだ。そのため、外部の人間とはあまり関わりを持たずに生活をしている。
彼らこそ”東”の生き残りであり、真のアンダーグラウンドの象徴なのではないだろうか。

国の急速な都市型計画によって、年々”スクワット潰し”が強化されているという問題も忘れてはならない。これこそ生きる文化遺産として残すべきものなのだから。

旅をすることで、今の前に見えている世界の何倍、イヤ、何億倍もの未知なる世界の存在を知る。心の底から震える体験とはテレビの中にもネットの中にも存在しない。自分の足で出向き、自分の目で見て、心で感じることでしか得ることが出来ない貴重な体験なのだから。人生は1度だけしかない。ほんの少しのお金と勇気があれば、誰でもどこでも何でも掴むことが出来るのだ。

To See The World!!

*スクワット、ティピーテント村内での撮影は固く禁じられています。全て自己責任となりますので、マナーが守れない方はご遠慮下さい。  

Special Thanks Yohei Suzuki

HUMAN

  • She wants a man, not just a boy

  • Like rain and sun, like cold and heat