耳を澄ませばそこら中から音楽が、インドネシアのギリエアー島にて行われたAir Festival 2017レポート

2017.04.22 Sat TEXT:Hikaru Masamiya CATEGORY:report


小川のせせらぎにも、草の葉のそよぎにも、耳を傾ければそこに音楽がある。

英国の詩人ジョージ・ゴードン・バイロンの言葉、この言葉通り全ての音を心から楽しむには自分に関連している物への考え事を止め、その場・その瞬間を純粋な気持ちで楽しめる環境が大事なのでは無いかと僕は思っています。

(photo by Sasha Baengueva)

二年二か月に渡る世界一周の旅を終えて東京へ戻った。約二年もの間、プランを決めずゆっくりと自分のペースで旅をしていたせいか旅を始める前よりも東京の忙しさが増した様に感じた。

昔はその忙しさがどうしても好きになれなかったが、二年ぶりの東京というのもあってか不思議と落ち着く懐かしさを感じられる。

約二年の旅を終えてから移住を決めたバリ島、東京と言うコンクリートジャングルで19年間育った自分が移住すると決めたのはジャングルで島の殆どが構成されているバリ島と言うのも何だか面白いと自分で思ってしまう。

日本で育ち、17歳の時に初めてのバックパッカーの一人旅を経験したのも沖縄の石垣島、世界一周で一ヵ所目に訪れたハワイのオアフ島、そして旅の終わりには予定外のバリ島への移住を決める、ここまで来ると何だか島に憑りつかれている様な気がしてしまう。

東京からバリ島へと帰ってきたタイミングで開催されていたAir Festival 2017 http://www.airfestival.net/#)に急遽参加してきた、フェスティバルのロケーションはインドネシアのバリ島からボートで約二時間ほど東にあるギリエアー島と言う小さな離島で開催された。

赤いマーク部分が今回のフェスティバルのロケーション、バリではこの三つの小さな島をまとめてギリズと呼んでいる、左は常にツーリストで賑わうギリトラワンガン島、真ん中はギリ島の中でもまだ発展中の静かなギリメノ島、右が今回エアーフェスティバルが開催されたギリエアー島。

ギリエアー島の全長は約1.5キロ程しか無く約二時間程度で島の端から端まで歩けてしまう。

バリ島の船乗り場からボートへ乗り込み、いざギリエアー島へ。

ギリエアー島までのチケットは会社によって多少変わってくるがフェスティバルから手配されていたバリ島からの往復チケットは日本円で3~4000円とお財布にも優しいのが嬉しい。

東京から戻り、海やジャングル等の自然を目の前にして改めて自然の持つエネルギーやありがたみを感じられた。

島に到着し、ボートから降りると不思議と普段の世界から切り離された気分になった。 ギリエアー島の敷地の大半は自然本来の姿を残しており、島内にはタクシーは無くその代わりに馬車で移動すると言うのがまた野性的で面白い。

本題のAir Festivalだが、今年でまだ3回目と若いフェスティバル。

ラインナップはRampaを始め、Dana RuhMIMI LOVEPEAK&SWIFTなど多くのベルリンDJがラインナップされており、会場にはフェスティバルの為にドイツから訪れた人も多く、インドネシアではあまり見られない新しい光景に新鮮な空気を感じた。

チケット価格は、アーリーバードで90USD、アドバンスで115USD、レギュラーチケットは150USDとインドネシアの物価と比較すると少し高め、この価格ではローカルの人がチケットを購入するのは当然無理だがインドネシアの方々には入場無料と言うフェスティバル側からの配慮もしっかりと行われていた。

そしてプラスチック消費量が多いインドネシアと言うのもあり、プラスチックは全面禁止。

その代わりにシリコンの水筒を販売し、水筒のみ持ち込みが出来ると言うのも素敵だ、島をロケーションとして使うだけでなく、地元の方々にも楽しんでもらい環境面でも考慮をしている部分からはフェスティバルに好感が持てる。

エントランス近くではもちろんフードコートや軽食が買えるブースも用意されていたので非常にコンビニエント。

会場に入るとフェイス・ボディペイントをしてくれるブースやフェスティバルのグッズを販売しているブースも用意されており、音楽だけではなくエンターテイメント面も海に囲まれた島を存分に満喫できるようなアイデアが見られた。

そして気になるステージだが、メインとなるエアーステージとロケーションが離れたアワンステージの二か所ブースが設置されている。

写真の大きな気球のオブジェクトが設置されている広いブースがエアーステージの夜間のメインステージ、ステージ左手には前面に広がる海に右手には緑で埋め尽くされたジャングル、昼間になるとバリ島や他のギリ島も見える何とも贅沢な風景。

メインブースのバックステージから見る風景は船の様になっており、踊っている人たちが波に見えると言う洒落たアイデアになっている。朝方になり気温が高くなってくるとメインブースからジャングル風ブースへと移動する。

(photo by Sasha Baengueva)

こちらのブースでは植物の天井が出来ているので気温が高いインドネシアでの日差しもしっかりと対策がされている。

ブースが変わる事により、気分もフレッシュになり曲調はメインブースでのガッツリなテクノから優しめのディスコやディープハウス、ハウスに変わり朝になってもゆったりと踊りやすい構成がされており、一日に二つの違ったイベントを楽しめる様な感覚だった。

メインステージから少し離れたロケーションにはアワンステージと言う別ステージが設置されており、ライブパフォーマンスやエレクトロミュージック以外のDJやファイアーダンスなどのパフォーマンスをやっているブースもあった、こちらはヒッピー系の人たちが多く見られた。島を堪能するにはバッチリな雰囲気のステージ。

フェスティバルが始まり、初日に個人的に心を掴まれたのがベルリンを拠点に活動しているDana Ruh、常に笑顔と優しさに包み込まれそうになる素敵な方といった印象、女性らしい雰囲気ながらも彼女のセットは男らしさを感じさせるベルリンテクノで会場を大いに盛り上げてくれた。

朝を迎えてもメインブースの人たちはまだまだエネルギッシュ、日の出を目の前にし大自然で囲まれながら踊る時間は最高に自由な気分にさせてくれる。

Jonny Vicious

https://www.mixcloud.com/jonathancharles/

移動後のメインブースは少し寂しく見えてしまう気がするが、、、

そしてエアーフェスティバル初日のラストを任されたのはラインナップで唯一の日本人DJのZUYACK

ZUYACK

彼はバリ島でホテルヴィラの経営もしており、多くのDJがバリ島へ旅行する際に彼のヴィラに泊まっているという。

過去にはMargaret DygasやSo Inagawaなど世界で活躍するDJたちもバリ島へ来る際は泊まる事になっていたが予定がキャンセルして無くなってしまったが、運が良ければ有名DJと会えるチャンスも。

最近ではアートの展示会やZUYACK主催のイベントなども行っており、ロケーションはセミニャックと言う観光客で賑わう中心部と交通面も便利、部屋も広く居心地が良いのでバリ島へ訪れる際はチェックしてもいいだろう、ヴィラ情報は下の記事から。

7時間で行ける楽園インドネシア・バリ。クラブ・パーティーもいい感じだし、リゾートだし、もう最高。 http://bnana.jp/mags/tomio_bali_feb2014/

僕がバリ島に住み始めてから常に色々とバリ島での生き抜き方から息抜き方、パーティー、音楽について教えて下さった兄貴の様な存在で、常に優しさをバリ島中にばらまいている人間としてもDJとしても非常に尊敬出来るバリ島の大先輩だ。

僕はまだ四か月ほどしかバリ島に住んでいないが、これまでにバリ島で日本人のテクノ/ハウスDJとして活躍している人はZUYACKしか会った事が無い、今年も前年同様、日本人代表としてエアーフェスティバルに参加。

彼のセット前にメインブースからジャングルブースへ移動する際あまりスムーズにいかず会場の人たちが困惑し、リズムが狂ってしまったようにも見えたがそれを上手く活かし、夜間とは一転した雰囲気の柔らかくありながらイレギュラーな朝にはぴったりなセットを披露してくれた。

そしてフェスティバルの二日目の早い時間には、数週間前に閉まってしまったバリ島内に唯一のアンダーグラウンドテクノ箱、Kohを代表しオーストラリア人DJのDan Baartzが会場を緩く気持ちよいテクノセットで温めてくれた。

Dan Baartz

早い時間からDan Baarztの軽いフットワークで踊れるテクノセットで会場の雰囲気が早くも出来上がり、ベルリン拠点のDave Dingerへとパス、ダンのセットとは一転したハードなテクノで緩やかな雰囲気からフェスティバルの本番がスタートしたかの様に会場内がヒートアップ。

Dave Dinger

後半に連れてフェスティバルはインドネシアの湿気に更に会場の人たちのエネルギーが加わり初日には無かった盛り上がりを見せた。

その後にはPEAK&SWIFT が続き、盛り上がりも落ちる事無く時間は深夜に。

PEAK&SWIFT

そして二日目に特に盛り上がりを見せたフェスのオーガナイザーでもあるTiago Oudman

ベルリンとバリ島を拠点にしプロモートから音源なども手掛ける多才DJ、エアーフェスティバルにベルリンDJが多いのもこのティアゴがベルリンとインドネシアの架け橋となったお陰で、アジアではあまり感じられるチャンスの無いベルリンバイブスを持ってくる事に成功した。

Tiago Oudman

フェスティバル内ではオーガナイザーとしての仕事で常に走り回っているのを何度か目撃した、今回も彼に一番お世話になったのでセットが気になっていたが、僕の予想を大きく上回る豪快でありながらも見事にまとまったハードなセットで会場の盛り上がりは最高潮に、個人的には一番楽しめたセットかもしれない。

それではここからは今回フォトグラファーとして協力してくれたSasha Baenguevaのスナップ写真をまとめてお届け。

オフィシャルフォトグラファーのDUNCOGRAPHIC (http://www.duncographic.com/) とフェスオーガナイザーのKelly Ariella (https://www.instagram.com/kellyariella/)

砂浜でフェイスペイントをしている人がいたり、

ネイティブアメリカンズがいたり、

中には日本をテーマにしたコスチュームに身をまとっている女性も見られ、沢山の面白いキャラクター達が集まったギリエアー島はまるでどこか違う世界へ入り込んだような気分にもなれた。

(photo by Sasha Baengueva)

砂浜に座り一人で音楽に揺れながら海を目の前にしていると一人の男性が横に座ってきて俺たちは一体どこに居るんだろうねと声を掛けてきた。

バリ海にぽつんと浮んだ離島で何も気にすることなく純粋な気持ちで楽しむ音楽にはいつもとは違った心地良さに時間を忘れてしまいあっという間に時間が過ぎてしまうのが少し悲しい、フェス以外の時間も島を満喫出来るのがまた嬉しい、島を散歩していると鳥の囀りや葉っぱの擦れる音、海の波の音まで全てが気分を上げてくれる音楽の様に聞こえてきた。

二日目の昼頃には気温が熱くなってくるとフェスの会場内の海辺でも海水浴する人も増えて来た、初日から二日目と後半につれ会場の雰囲気が一体化していき最終日には皆が友達になり、壁を作らず踊ったりと本来のあるべき人間の姿を見ている様な気分になった、その光景を見ていると言葉に出来ない幸せな気持ちが体から溢れてきた。

忙しい都会に居るとなかなか経験出来ない人間が本来の人間の姿としてフィルターを通さずに抱擁し、笑い合い、心から会話をし、時には言葉を超えてただただ踊り続ける、社会やシステムと言う物が存在しない離島だからこそ実際に感じられるものなのだろうかと一人で考え込んでしまった。

(photo by Hikaru Masamiya)

日本人旅行者が多い事で有名なバリ島は日本からのアクセスが楽で安い時期では3万~4万円で往復チケットが買えてしまう。

都会の忙しさから離れ時間を忘れて大自然に囲まれた離島で有意義に音楽を楽しめるエアーフェスティバル、バリ島へのバケーションと重ねて来年のエアーフェスティバルに訪れてみてはいかがでしょう?

【Air Festivalオフィシャルサイト】 http://www.airfestival.net/

Reported by Hikaru Masamiya

Photographer : Sasha Baengueva (https://www.instagram.com/alexbaengueva/)


*尚、BANANAではチケットの手配、現地アテンドなどのサービスを行っています。日本国内から海外フェスのチケットが購入出来ない場合があります。また、日本語のアナウンスは一切ありません。ご希望の方はお気軽にご相談下さい。 お問い合わせ先: hello@bnana.jp


ライタープロフィール:正宮 光(Hikaru Masamiya)

東京生まれ東京育ちのオーストラリア人と中国人と日本人ミックス、16歳からMen's non-noやGRINDなどの雑誌にてモデルとして活動し、それをきっかけにファッション・アートの世界に惹かれる。高校を卒業した後、約二年間の世界一周の旅へ出る。アメリカを始めヨーロッパの首都を中心に世界を放浪しながらファッションジャーナリスト、記者、フォトグラファーとしてメジャーではないファッションウィーク、まだあまり注目されていないマイナーな街でのファッションリサーチや取材を行っている。自らアンダーグラウンドシーンや危ない地域に足を訪れては、日本ではまだ知られていないローカルカルチャーにスポットを当て、様々な形で発信する。2016年の12月よりインドネシアのバリ島に拠点を移し、アーティスト、デザイナー、ジャーナリスト、記者として活動中。

Contact: hikarumasamiya@gmail.com

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